矯正音について
手技療法の矯正時に出る音には「ボキィ」という代表的なものの他に「ガチャ」や「シュー」といったもの、または無音のものまで様々であります。
初めての患者さんが予約のお電話で「そちらではボキボキするのですか?」と不安そうに尋ねられる方がいらしゃいます。無理もありません。日本の手技療法文化は按摩ですから、なかなかあの「ボキィ」という音が受け入れられないのも当然の事でしょう。
ニューヨークなどのカイロクリニックでは逆に「ボキィ」という矯正音を伴う治療が殆どで、文化の違いといったところでしょう。
あのボキボキという矯正は非常に難しく、一朝一夕で習得できるものではありません。西洋医のメスを思い出してみてください。メスは刃物ですから医学的知識の無い者が扱えばただの凶器ですが、優秀なドクターが使えば偉大な医療用具になるのです。両刃の剣といったところでしょう。ですから知識と経験のある治療家が「ボキィ」という矯正をすることも同じ両刃の剣なのであります。
あの音は正式名称を【クリック音】といいます。けして関節が擦れ合う音ではありません。脊椎関節にガスが溜まり、それがはじける音であるといわれています。炭酸ガスが溜まるまで20分程要しますから、同じ部位から連続して音が出ることはありません。ただし手の指関節にかぎり連続して音がでる場合があります。あの【クリック音】がした瞬間に、大脳よりエンドルフィンというホルモンが体内に分泌されます。エンドルフィンは、戦時中に負傷者の鎮痛剤としてつかわれていた麻薬の一種のモルヒネに似た効果があるらしく、矯正時の痛みをやわらげてくれるのです。
ですから我々、手技療法家は「ボキィ」という音に麻酔と同じ効果を期待しているのです。
ただし皆様がご自身でこの音を出されるのは、よくありません。よく私に質問されるんですよ、「自分でよく首をひねり音をさせるのですが、よいのでしょうか?」と首や腰をひねりボキィとさせるのは小学校低学年から高校生に多いですが成人の方にも多いです。あれはチック症状といい一種の中毒症状です。タバコと同じでやればやるほど癖になってしまいます。麻薬に似た効果があるわけですから気持ち良いはずです。治療家がおこなう矯正は関節に指で狙いをさだめるので最小限のエンドルフィンしかでませんから中毒にはなったりしませんが、みなさんがすると多くの関節が同時に鳴るので多量のエンドルフィンがでてしまい中毒になるのです。手術もしないのに麻酔だけしているものだと思ってください。タバコといっしょでとにかくやらないでいればそのうち首をひねりたくなくなってきます。ですので首に生き抜きに首にストレッチをかける場合はきわめてゆっくりを動かすようにお願いいたします。
次に「ガチャ」という音ですがあれは【ドロップテクニック】といいアメリカでは特に西海岸でよく使われているのですが、特殊な治療ベッドと治療家の手技により出る音です。最近ではベッドも進化して「ガチャ」というより「スコン」という音がしますね。そして「シュー」という音はカウンターストレインテクニックなど関節を軽く引っ張ったりまたは押したときにするものです。マッサージの時もこの音がすることはあると思います。
他にも「パチン」という珍しい音もあります。これは全米のカイロプラクターの間で使用されている矯正器具でアクティベーターというものを使った時です。手技療法には邪道だと私は思うのですがなかかか良い音で、このテクニックだけで治療をおこなうドクターが日本にもわりとおりまして、実際に治療の効果をあげておられますので、邪道だと感じる私のこころが狭いのかもしれません。お許しください。
最後に無音のものがなんと多いことか!寂しく感じますが、非常に紳士的なテクニックだといえるでしょう。イギリスやフランスに多い矯正音は無音です。まあとにかく治療法を決めるのは皆様ご自身です。お好みの矯正音を是非どうぞ。
